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骨粗鬆症

 骨粗鬆症は、骨が弱くなって骨折しやすくなる病気です。骨はタンパク質であるコラーゲンにリン酸カルシウムが沈着して形成されています。コラーゲンは、ビルの鉄骨のように骨を支えるとともに、強い力がかかるとたわんだりしなったりして外力を吸収します。これに対して、リン酸カルシウムは、コンクリートのように堅くて丈夫なのですが、ポキッと折れてしまう場合があります。骨粗鬆の診断に使われる骨密度は、カルシウムの量を計っています。骨密度が若年成人平均値の70%を下回る場合や背骨や脚の付け根の骨折が起きている場合は、骨粗鬆症と診断されます。骨粗鬆症は密かに進行するため症状はほとんどないことが多く、ある日突然骨折をおこして気がつくことが良くあります。腰が曲がってきたり、腰痛があったり、身長が若いときより2cm以上低くなったりしたときには気をつけないといけません。

 骨は4~6ヶ月の周期で新しい骨と入れ替わっています。骨粗鬆症の時は、骨の吸収が骨の形成を上回るため、骨量が減少します。骨密度の低下は、カルシウム不足・加齢・エストロゲンの減少・ビタミンDやビタミンKの不足・マグネシウムの不足などにより引き起こされます。また骨質の劣化は、コラーゲンを作るのに必要なアミノ酸やビタミン不足などにより起こります。また、運動は骨強度を増加するのにとても大切です。

カルシウムは、骨や歯の主成分になるだけでなく、神経伝達・筋肉の収縮やホルモンの分泌にも係わっていてとても大事なミネラルです。そのため血液中のカルシウムの濃度を一定に保つために、体内では様々な機構が働いています。血中カルシウムが少ないと骨からカルシウムが溶け出しますが、あまり多すぎると異所性カルシウム沈着と言って血管や心臓などにカルシウムが沈着することがあります。カルシウムはあまり多すぎても少なすぎても良くありません。

エストロゲンは、破骨細胞による骨の吸収を抑えるように働いています。そのため閉経後エストロゲンが減少すると骨吸収が進んでしまいます。閉経後の女性に骨粗鬆症が多いのはそのためです。

ビタミンDは腸管からのカルシウムの吸収を良くし尿中へのカルシウムの排出を減らします。カルシウムをたくさんとっても、ビタミンDがないと上手く利用されません。ビタミンDは青魚に多くふくまれますが、紫外線を浴びることで皮膚でも合成されます。体内に取り入れられたビタミンDは、肝臓や腎臓で活性型ビタミンDに変化して働きます。ただ、活性型ビタミンDの取り過ぎにも注意が必要です。

ビタミンKは、カルシウムが骨に沈着する時に必要な「オステオカルシン」というタンパク質を作るのに必要とされます。ビタミンKは、納豆などの発酵食品に多く含まれますが、腸内細菌によっても作られます。

骨質の主成分であるコラーゲンはアミノ酸から作られますが、作るときにビタミンCを必要とします。(食べたコラーゲンがそのまま利用されると言うことはありません)また、ホモシステインというアミノ酸はコラーゲンを劣化させますが、ビタミンB1・B6・葉酸が不足するとホモシステインが増加します。

リンは骨の成分ですが、取り過ぎると腸管内でカルシウムと結合してリン酸カルシウムとなり、カルシウムの吸収を妨げるので多く取り過ぎはよくありません。リンは食品添加物として広く使われているので、最近はリンを取り過ぎる傾向があるので気をつけてください。また、ナトリウムやアルコール、喫煙もカルシウムの吸収を妨げるので取り過ぎには注意が必要です。

 骨を強くするのに効果的な運動は、骨に刺激を与えるような運動です。筋肉を動かせば骨にも力が加わりそれが刺激となって骨にカルシウムが沈着しやすくなります。自分に合った運動を定期的に続けることが大事です。  骨粗鬆症と診断された場合は、薬を使うことも有効です。最近はいろいろな薬が開発され効果が確認されてきています。圧迫骨折は、一度起こすとまた起こしやすくなると言われています。脚の付け根の骨折は、寝たきりの原因になったりします。早くから予防・治療を行うことによって骨折を防ぐことが、健康で長生き出来ることにつながります。