disease

副鼻腔炎、蓄膿症について

<副鼻腔って?>

頬の骨、額の骨、目の回りの骨はぎっしりと詰まった硬い骨ではなくて、中が空洞になっています。この空洞を副鼻腔と呼び、上顎(じょうがく)(どう)()(こつ)(どう)前頭(ぜんとう)(どう)蝶形(ちょうけい)(どう)の4つの副鼻腔があります。副鼻腔の内側は、薄い粘膜で被われていて、鼻腔(鼻の穴)と細い通り道でつながっています。

<副鼻腔炎とは?>

副鼻腔は本来無菌状態なのですが、風邪をひいたりすると、鼻腔から副鼻腔に細菌が侵入して、ここで増殖します。この状態が副鼻腔炎です。粘った黄色い鼻汁がでるのは、副鼻腔で増殖した細菌の膿が鼻内へ出てきているのです。風邪が治るとともに、急性副鼻腔炎も治ってしまうと良いのですが、ちゃんと治らずに、慢性副鼻腔炎に移行してしまう場合があります。慢性化してしまう原因はいろいろありますが、鼻腔への通り道が炎症などでふさがってしまって、外との空気の流れが悪くなってしまうことも大きな原因です。炎症がひどくなると、副鼻腔内の粘膜が腫れて厚くなったり、副鼻腔に膿がたまったままになってしまったりします。この状態を蓄膿症といいます。

<症状>

鼻がつまったり、粘い色のついた鼻汁がでたりします。鼻汁がのどにまわって咳になることや、頭痛の原因になることもあります。また、急性中耳炎や滲出性中耳炎の原因や、他にも色々な病気の原因になることもあります。

<検査>

鼻の中を見た上で、必要ならレントゲン検査やCT検査やMRI検査などを行います。

<治療>

まず、鼻汁を吸引して、鼻の中をきれいにします。ネブライザー療法は、抗生物質などの薬を副鼻腔に送り込む治療です。飲み薬としては、抗生物質や消炎酵素剤、抗ヒスタミン剤など、また、漢方薬も効果があります。鼻を通り易くしておくために、点鼻薬も使ったりします。また、マクロライド療法といって、マクロライド系抗生物質の少量長期投与の治療も行います。このような治療で効果が出ない時には、手術を行います。手術は、以前は、副鼻腔の粘膜を取ってしまうものでしたが、最近は、内視鏡下で、副鼻腔と鼻腔との狭くなった通り道を広げる方法に変わってきています。副鼻腔の換気を良くすると、炎症が取れてくるのです。ただ、子供さんの場合は、まだ、顔の骨や副鼻腔が発育途上なので、原則として手術は行いません。

<マクロライド療法について>

マクロライドとは、抗生物質の分類の名前です。マクロライド系抗生物質の一部に、他の抗生物質にはない、慢性炎症を回復させる働きや、粘液の過剰産生を押さえる働きがあります。その作用を利用して、副鼻腔炎を治療するのが、マクロライド療法です。方法としては、マクロライド抗生剤(エリスロシン、クラリシッドなど)を普通の約半分量にして、長期に使用します。飲んでいただく期間ですが、マクロライド療法のガイドラインでは、おとなの場合は、3~6ヶ月を1クールで経過をみるということになっています。また、子供の場合は、症状がよくなれば、できるだけ投与期間は短くし、2ヶ月で有効性を認めなければ投与を終了するということになっています。