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タンパク質について

人間の体の18~20%がタンパク質で出来ています。タンパク質は筋肉になるだけでなく、酵素・免疫抗体・ホルモン・血球・コラーゲン・そしてDNAを形成し、人体にとってなくてはならないものです。これらは脂質や糖質では作ることが出来ないものです。

タンパク質は数百個のアミノ酸が結合して出来ています。アミノ酸には人体内で合成できない9種類の「必須アミノ酸」(イソロイシン・ロイシン・リジン・メチオニン・フェニルアラニン・スレオニン・トリプトファン・バリン)と合成できる11種類の「可欠アミノ酸」がありますが、これらが様々な結合をすることで、多種類のタンパク質が出来ます。また、タンパク質が消化・吸収され出来たアミノ酸はタンパク質を合成するだけでなく、ナイアシンなどのビタミンや、アドレナリン・ノルアドレナリン・セロトニンなどの神経伝達物質を作る材料になります。

人体の各組織は新陳代謝で新しいものと古いものとが入れ替わっていますが、良質のタンパク質がないと丈夫な体を作ることが出来ません。また、DNAから物質を作るときに、コドンと言うのが一つの単位となって、一つのアミノ酸を運んできて組み立てられますが、アミノ酸(種類・量とも)が足りないとちゃんとした物質(酵素など)が出来ず、成長が阻害されたり病気を引き起こしたりすることがあります。各アミノ酸がどんな病気や状態に関係するかという研究も進んできています。例えば、ラットの実験ではタウリンやメチオニン・アルギニンなどは脳卒中を減少させます。リジンはヘルペスの増殖を抑えます。

必要なタンパク質は体重1Kgあたり0.7~1.0gと言われていますが(食品の量ではなく、肉など食品に含まれるタンパク質の量です)、食品によって含まれるアミノ酸の割合が違います。必須アミノ酸を万遍なく含んでいるタンパク質が良質なタンパク質と言うことになりますが、その割合を点数で表したものを「プロテインスコア」や「アミノ酸スコア」といいます。同じスコアでもどのアミノ酸が少ないかは食品によって異なります。また、食べたタンパク質が体にどれくらい利用されたかというのを、排出した窒素の量で調べる方法もあります。これを「生物価」と言い、点数が高い方が優秀なタンパク源と考えられますが、例えば卵94,牛乳85,魚76,牛肉74,そば77,大豆73、精白米64等となります。ただ、足りないアミノ酸を補い合うような食べ方をすれば良いわけで、そのためには魚・肉・大豆・牛乳など様々な食品を取ることが大切です。多くの植物はリジンとメチオニンの含有量が少ないので、ベジタリアンの人はこれを補う卵などを摂取すると良いでしょう。また、大豆はリジンは多いのですがメチオニンが少なく、白米はリジンは少ないがメチオニンは多いので両方を一緒に食べると双方を補うことが出来、こういう食べ方をしてきたのは日本人の知恵でしょう。小麦粉もリジン・スレオニン・トリプトファンが少ないのでパン食などの場合はこれらを補う牛乳や肉類が必要となります。

また、特に高齢になると消化吸収も悪くなってきますから、フレイルと言った状態を予防するためにも十分なタンパク質の補給が大切です。ただ、腎機能が悪い場合は、高タンパク質は腎機能の悪化にもつながりますから注意が必要です。