disease

唾液とドライマウス

 唾液は、耳下腺・顎下腺・舌下腺という3つの大唾液腺と口腔内に広く分布する小唾液腺から出ます。唾液は、サラサラ成分とネバネバ成分とからなりますが、耳下腺はほとんどがサラサラ成分を作り、顎下腺は両方、舌下腺は主にネバネバ成分を作ります。1日約1~1.5ℓの唾液が作られますが、食事などの刺激を受けたときだけでなく、安静時にもチョロチョロと出ています。

唾液には、嚥下を助けたり、消化を助けたり、細菌を殺したり、味覚を感じさせたり、声を出し易くしたりと、とても大切なたくさんの役割があります。唾液中にはリゾチームという傷を消毒する成分や、IgAといった抗体が含まれ、外からの異物や口腔内常在細菌から体を守っているので、唾液が少なくなってくると虫歯や歯周病を起こしやすくなります。また、異常な舌苔や口臭の原因になったりもします。唾液は食物を溶かし舌の表面の味蕾細胞にくっついて味を作るので、少なくなると味覚を感じにくくなります。唾液中のアミラーゼはデンプンを麦芽糖に変え、消化を助けますから唾液が減ると食物の消化・吸収が悪くなります。また、唾液が減ると、食事がうまく飲み込みにくくなったり、声がかすれてきたり、口腔内が傷つきやすくなります。

唾液は、緊張したときにもリラックスしたときにも分泌が多くなりますが、リラックスしたときは耳下腺からサラサラ成分の唾液が多く出され、緊張したときにはネバネバ成分が多く出されるので、緊張したときにはのどが乾いた感じがします。

唾液は、年齢とともに少なくなってきますが、他にもでにくくなる原因があります。3大原因は、薬の副作用・ストレス・筋力低下と老化だといわれています。鎮痛剤・降圧剤・抗ヒスタミン剤・精神安定剤・眠剤なども唾液を減少させてしまう可能性があります。そのほかには、シェーグレン症候群や糖尿病、脱水症、脳血管障害などの全身疾患が原因の場合もあります。また、咀嚼筋力の低下や口呼吸も一つの原因となります。咀嚼筋の低下は年齢だけでなく、良く噛むことが少なくなったことが原因です。

治療としては、シェーグレン症候群にはサリグレン・エポザックといった唾液分泌刺激剤を使うことや、漢方薬としては、麦門冬湯や白虎加人参湯など口腔内を潤す薬もあります。人工唾液もあります。また、口咀嚼筋のリハビリ、「あえうべ体操」のような口のストレッチ、口腔粘膜マッサージも効果があるといわれています。最近、柔らかい食事が増え良く噛まないことも唾液の減少の大きな原因だと言われていますので、しっかり噛むことが大切です。また、お風呂にゆっくり入ることは、精神的にだけでなく筋肉もリラックスさせて唾液の分泌をよくします。腹筋や胸筋などの呼吸筋を鍛えることも大切です。