disease

舌下免疫療法について

アレルギー性鼻炎は、花粉やダニなどが鼻の粘膜につくと、鼻粘膜の肥満細胞からヒスタミンなどの化学物質が出て、くしゃみ・鼻水を引き起こす病気です。今おもに行われている治療はこのヒスタミンをブロックして症状を抑える治療法で、対症療法となります。

それに対して、唯一の根本的治療法が「舌下免疫療法」です。アレルギー性鼻炎は、花粉やダニを体の免疫系が外敵と勘違いして起こります。舌下免疫療法は、ごく薄い液を口腔粘膜から(舌の下)から入れることで「外敵ではないかもしれない」と認識し、「免疫寛容(めんえきかんよう)」を起こし、症状が起こらなくなってくることを狙います。実際に鼻粘膜のアレルギー物質を出す量が減ってくることが証明されています。

日本では2014年から許可された治療法で、現在は杉とダニで治療が出来ます。年齢は5才から65才まで可能で、幼少時の方が効果が早くでると言われています。子供はまだアレルギーにかかってからの期間が短く、免疫変換が早く進むからです。また、子供さんがダニの免疫療法を行うと、大きくなってからも杉などのアレルギーの発症を抑えることが出来るとも言われています。

服用方法としては、まず舌の下に錠剤(直ぐ溶けます)を2分間保持し、その後飲み込みます。これを毎日家で行います。最初の1週間は少ない量、2週目からは通常の量になります。服用後、5分間はうがい・飲食はしないで服用前後2時間は激しい運動・アルコール・入浴は避けて下さい。これを最低2年から3年行います。スギ花粉症の場合の治療開始は、杉の飛散時期を避けた方が良いので、花粉が終わった6月頃から11月頃までに始めるのが良いです。ただ、妊婦さん(治療中に妊娠した場合は大丈夫です)、コントロールできていない喘息患者さん、心臓病でβブロッカーを使用している人、ステロイド剤を使い続けている人、抗がん剤を使用中の人、急性の感染症に罹患中の人は治療が行えません。副作用としては、喉のかゆみやはれが治療初期に起こることがありますが、アナフィラキシーのような強い症状は、今までのところほとんど報告はないようです。

効果はかなり個人差があり、3年間継続された方の20%が完治、60%が改善、20%が効果なしという報告があります。また治療が終了したあとも70%のひとが効果が持続するとも言われています。鼻づまりなどの症状が強いときには手術をしてから免疫療法をやるとか、花粉の量が多いときなどには投薬も併用するとかも考えられます。